POINT ロシア極東エリアにおける最大の石炭積み替え基地であるボストチヌイ港で、敷地を拡大してターミナルを増設する計画に参加。お客様の期待に応える石炭積み出し機器一式を開発し、年間1600万トンだった石炭の取り扱い能力が、約3000万トンに倍増しました。

導入前の課題

石炭積み出し能力増強のため、新しい積み出し機器が必要だった

これまで重要なエネルギー源として活用されてきた石炭ですが、現在は二酸化炭素の排出を制限するため、多くの先進国が石炭を使った火力発電に対して消極的な傾向にあり、需要を減らしています。一方で、インドや東南アジアなどの国々では、引き続き石炭による火力発電が求められており、石炭の需要は旺盛です。また、オーストラリアなど主要な石炭輸出国の生産量が減少傾向の中、ロシアは石炭の供給力を増大し、石炭市場でのシェアを伸ばそうとしています。

こうした動きの中心となっているのが、ロシア最大の港湾企業JSCボストチヌイポート様(以下、JSCVP様)です。JSCVP様が運営する、日本海沿岸に位置するボストチヌイ港は、ロシア極東エリアにおける最大の石炭積み替え基地であり、鉄道輸送してきた石炭を、日本・中国・韓国をはじめとするアジア諸国へ船舶輸送しています。

しかし、ボストチヌイ港が保有する既存の積み出し施設は、導入から長い時間が経過しており、その積み出し能力には限りがありました。このことが港湾外での輸送船の滞船を引き起こし、運賃上昇による採算性の停滞を招いていたのです。そこでJSCVP様は、ロシアからの石炭の輸出増加に対応し、既存施設のほぼ倍にあたる輸出能力を得るため、隣接する敷地に既存設備の約2倍の広さとなる港を併設し、ターミナルを増設。年間1600万トンから年間3000万トンにまで、石炭の取り扱い能力を増加させる計画を立てました。

製品

既存設備をベースとした、堅牢性の高い機器を開発

この計画を第3期拡張工事と位置づけたJSCVP様は、新たな設備の開発パートナーについて検討を開始。1970年代に日ソ経済協力プロジェクトとして建設された既存設備は、三井三池製作所が納入した設備だったことや、現在も既存設備の更新などで関係性が継続していたことから、今回の入札への参加を打診しました。

ドイツや中国の大手企業なども参加する中、事前審査を経て最終的に入札を実施。最終的に価格面・仕様面で優れていたドイツの有力企業との一騎打ちになりましたが、JSCVP様は三井三池製作所をパートナーに選定しました。第1期の工事から40年以上使用している既存設備の実績や、計画策定の段階から行っていた技術協力に対しての高評価が、今回の選定を後押ししたのです。

2014年7月、JSCVP様と三井三池製作所は、開発・納入契約を結びました。三井三池製作所は、第1期の工事から長年にわたって培ってきた経験とノウハウを活かし、高い堅牢性でJSCVP様からの信頼が厚い既存設備をベースとしつつ、最新の技術を加えて効率性を強化した設備を開発。あわせて石炭解凍用のヒーターなど、寒冷地での稼働に適した施策を施しました。

導入後の効果

ターミナル増設で、石炭の取り扱い能力は年間1600万トンから3000万トンに

諸般の事情があり、第3期拡張工事の計画は多少遅れましたが、2019年12月に新設備一式の引き渡しが完了しました。稼働開始からあまり時間が経過していないことから、新たに強化したターミナルの積み出し能力向上の効果は、まだ計測中の段階です。しかし、従来は年間1600万トンだった石炭の取り扱い能力は、ターミナル増設により約3000万トンとほぼ倍増することが見込まれています。

また、既存設備と同じ三井三池製作所が開発した設備ということで、既存設備との相性を深く考慮する必要がなく、効率的な作業と錆や破損に強いなどの高い堅牢性が期待できると、JSCVP様は高く評価しています。

今後JSCVP様は、ボストチヌイ港の埠頭をさらに延長し、船舶が接岸・係留して荷役などを行うバースを新規建設する計画を進めています。それに伴って石炭を船積みする設備も増設し、さらに積み出し能力を増強することも計画中です。三井三池製作所としては、JSCVP様に再びパートナーとして選定された際にも、継続して効率や堅牢性向上のため尽力していく予定です。