POINT 既に老朽化したコンクリート製プールを改修したいが、建て替え全面改修となると予算が付かず、安価な塗装改修やシート貼り改修といった延命策や、数年ごとのメンテナンスを繰り返し、費用がかさんでいる事例が多くありました。そこで、全面撤去→新築(建て直し)ではなく、既設プールの躯体を再利用してステンレスを内貼する「ステンレス内貼リニューアル工法」を開発。費用・期間の縮減と、新設同様の美観と耐久性を実現できました。

導入前の課題

老朽化したコンクリート製プールの改修に、コストがかさんでいた

現状、小・中学校のほとんどは、自校のプール施設を使用して水泳授業をおこなっています。昭和の時代に設置した老朽化が著しいプールを建て直したいが、全面改修には1.5億円程度の費用が必要です。ただし、現状は、校舎や体育館の耐震強度対応、トイレの洋式化、空調整備を優先しなければならないため、プール改修に多くの予算を取れないという自治体が少なくありません。

そのため、比較的安価な費用で施工できる塗装改修やシート貼り改修を実施して延命策を図る事例が少なくありません。しかし、これらの修繕は根本的な改修ではないため、数年ごとの施工を繰り返す必要が生じて、累積では多くのメンテナンス費がかさむ結果となっていました。

製品

費用と工期の大幅縮減、新設同様の美観と耐久性を実現する「ステンレス内貼工法」を開発

ステンレス鋼材は強度に富み、耐食性と耐久性に優れ、撤去の際はリサイクル可能な「環境に優しい」素材です。さらに、切断・曲げ加工・溶接の手順で施工する施工自由度の高い素材であるため、既設のコンクリートプールの形状に合わせて、ステンレスを内貼施工することが可能です。既設プールの躯体を再利用するため、費用と時間がかかる既設プールの撤去工事が不要になり、結果として改築費用と改築工期を大幅に縮減できます。

A小学校では、プール改修工事の設計・製造業者に向けて提案依頼書を作成。その中に、ステンレス内貼工法と塗装工事、ならびにシート貼り工事との比較検討資料の作成という要望を盛り込みました。そして、各社からの提案を比較し、ステンレス内貼工法の耐久性と耐震強度、メンテナンス費用の低減という点を考慮して、三井三池製作所の提案を選定しました。

導入後の効果

プール本体改修、ろ過装置と設備配管更新などが、約2カ月の改築工期で完了

プール本体の改修と、ろ過装置と設備配管更新、更衣室・トイレおよびプールサイドの一部補修にかかった工期は約2カ月。検討開始から約1年間の設計・製造・施工を経て、A小学校のプールは新設同様の美観と耐久性をもったプールに変貌を遂げました。なお、費用はおよそ80百万に抑えることができました。

これにより、自治体の施設担当者を悩ませていた毎年のプール授業終了後のメンテナンスや、修繕に関する調査や予算取り作業に費やしていた時間を、他の業務に従事できる時間に割り当てられるようになり、担当者は大変喜んでいるそうです。今後も、同市内にある経年劣化した学校プール本体の改修は、ステンレス内貼工法を順次採用することを視野に入れています。